変形労働時間制という言葉が数年前に広がりましたが、まだ自分の自治体では開始されていません。全国的にスタートするのでしょうか?
実はもうスタートしている自治体もあるよ!今回は変形労働時間制の最新情報とメリット・デメリットについて解説していくね٩( ‘ω’ )و
2019年12月に「給特法」が改正され、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を導入することができるようになりました。
これは導入を可能にしただけで、実際に導入するかどうかは地方自治体に任せられており、都道府県や政令指定都市による条例制定が必要になります。
- 変形労働時間制について詳しく知りたい人
- 教員の働き方に興味のある人
今回は現役中学校教員まめみ(https://twitter.com/syouenezinnsei)が変形労働時間制について徹底解説します!
- 変形労働時間制の最新情報
- 変形労働時間制のメリット・デメリット
- 変形労働労働制の今後の見通し
【最新情報】変形労働時間制の現状
変形労働時間制という言葉を聞いてもその仕組みまで理解しにくいですよね(^_^;)
まずはその目的から見ていきましょう!
簡単にいうと平均残業時間が過労死ラインを超えている教員に対して、残業時間を減らすために休日を夏季休業中などに集中して取得してもらうという方法です。
時間外勤務については減少傾向にあるものの「名ばかりの定時退勤」が推進されており「持ち帰り業務」は事実は含まれていません。(下記参照「教育新聞より」)
変形労働時間制とは、業務の繁忙期には働く時間を延長し、その分閑散期に短縮したり長期休暇などに振り替えたりするなど勤務時間を調整できるということだね٩( ‘ω’ )و
北海道は先行して変形労働時間制の導入へ!
2021年4月から北海道が全国に先駆けて変形労働時間制を導入しました。
2020年北海道教育委員会が11月、道議会の文教委員会に条例案を提出すると、翌12月、文教委員会はこれを全会一致で可決。同月、北海道議会は条例案を賛成多数で可決しました。
変形労働時間制の具体的な活用例としては、一般的な教員の繁忙期である4月や3月に働く時間を増やす代わりに夏季休業期間中の休日を3日間増やしたり、年末に働く時間を増やす代わりに冬季休業期間中の休日を2日間増やしたりすることなどを想定しています。
6割以上の教委が変形労働時間制導入せず
日本教育新聞の調査によると2022年1月の時点で全国の教育委員会のうち、6割以上の自治体が変形労働時間制を導入していない(導入する予定がない)という結果だったことがわかります。
20年度の議会で条例の整備を行う予定と回答したのは、北海道、茨城、千葉、三重、鳥取、徳島、香川、愛媛、高知、大分、宮崎、鹿児島です。このうち、北海道と徳島県では、すでに議会で条例改正案が可決しています。
条例改正の動きについて、文科省の担当者はこのように述べています。
「コロナ禍の状況は法案審議の段階では想定されていなかった。夏休みの短縮など、この状況下では休日のまとめ取りは確かに難しい面がある。今後、コロナが落ち着き、夏休みに休日のまとめ取りができる状況となれば、各都道府県などが導入についての判断をするのではないか」
変形労働時間制のメリット
「教員には変形労働時間制は適していない」という反対派の意見も多いですが、メリットもあります。
教員側から考えるのではなく雇用主の視点で見ると、なぜこの制度が推進されているのかがわかります。
変形労働時間制は、今まで残業時間だった時間を勤務時間として計算することができるため雇用主的立場である管理職や教育委員会にとっては嬉しいことです。
なぜなら近年教員の過酷な労働状況が明るみになり、労働環境に関わる裁判も行われたこともあり教員志望者が激減しているからです。
数字上はクリアな職場環境に見せることができるので雇用主にとってはメリットとなります。
変形労働時間制のデメリット
デメリットについては教師側に立つと見えてきます。
ここからは現役教員としての私見も入れながら解説していきます!
各自治体の教員組合が反対している理由もデメリットが多いことが背景にあります。
この制度は残業時間が減っているように見せかける制度です。
なので教師の「持ち帰り業務」や繁忙期の時間外業務の量などは変わりません。
教員志望者を増やすための「見せかけ」の対策ということです。
いかにも政府側が推進する制度といった感じですね(^_^;)
そもそも教師は「給特法」によって残業代は支払われないシステムになっています。
変形労働制度によって定時退勤できる状況であっても残業をしなければならない状況も出てきます。
残業代は支払われないのに残業をしなければならない状況、企業であれば違法ですね(^_^;)
教員の仕事は多岐に渡るので、時間内に規則的に終わる仕事は授業くらいです。
日々予測不可能な生徒指導や保護者対応、会議や打ち合わせも入ります。
そのような放課後業務は勤務時間として扱われないことになっていますが、実際問題削ることはできません。
なので職場内で交代制で1つの業務をまわしていかなければなりません。
そこで発生するのは連携を取るための業務です。仕事が増える恐れがあるのです。
「1年単位の変形労働時間制」によって、たとえば20時まで勤務時間とされた後に残業しても給特法によって「自発的勤務」とされるので公立の先生は裁判では勝てません。
数字では見えない残業時間によって再び教員の過酷な労働環境が闇に葬られます。
変形労働労働制の今後の見通し
文科省は教員の変形労働時間制を早く導入したいと考えています。
このままでは教員志望者が減っているのに、さらに離職者を生んでしまうことが予想されます。
現役教職員を中心に署名運動も行われています。
https://www.change.org/p/緊急署名-すべての労働者の問題です-労働基準法を歪め教員に-1年単位の変形労働時間制-を導入する法案は廃案に
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