あ!今週末も部活動の試合で家族との時間が削られる…
部活がなくなれば教員志望の人も増えるのでは?
そうだね。残業時間の多くを占めているのは部活動だね!
部活動が地域移行されれば教員の負担は軽減されるね٩( ‘ω’ )و
部活動の地域移行について最近ニュースで取り上げられるようになってきました。
部活動の地域移行は一体いつから始まるのでしょうか?
- 部活動の地域移行に関心のある人
- 教員の働き方を知りたい人
「教師のバトン」のハッシュタグによって現場の声が世間に広まったことや働き方に関する2つの裁判によってその実態が明るみになったことが背景にあります。
残業時間調査の結果や精神疾患での休職者数の増加も要因の1つです。
では部活動の地域移行はいつから開始されるのでしょうか?
また実際移行することは可能なのでしょうか?
今回は現役中学校教員まめみ(https://twitter.com/syouenezinnsei)が徹底解説します٩( ‘ω’ )و
- 部活動の学校教育における位置づけ
- 部活動の地域移行の具体的と課題
- 部活動地域移行の最新情報
- 部活動の今後の見通し
それではまず部活動が学校教育の中でどのように位置づけされているかについて解説していきます!
部活動の位置づけ
学校の教育活動は、「教育課程」と呼ばれる学習指導要領に示された内容と「教育課程外」と呼ばれる学校が計画する内容で構成されています。
部活動は「教育課程外」の活動で、法令上、学校が設置、運営する義務とはされていません!
平成29年3月告示の中学校学習指導要領において、部活動はこのように位置づけられています!
第1章 総則 第5 学校運営上の留意事項
1 教育課程の改善と学校評価、教育課程外の活動と連携等
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポー ツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教 育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、学校や地域の実情に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。
部活動は義務にはなっていないものの、教育課程と関連させるように示されています(^_^;)
ここが簡単に学校教育から部活動を外せない要因の1つです。
生徒の多様な学びの場として教育的意義が大きいことから学校の教育活動の一環として多くの学校が実施しています。
部活動の教育的意義って具体的に何ですか??
学ぶことが多いのは分かりますが…
教育的意義を追求し続けると働き方改革は進まないと思っているよ…でもまずは部活動の意義を解説するね!
部活動の教育的意義って?
まず私は教員の労働環境改善のため部活動は学校教育から外すべきだと思っています。
教育課程よりも部活動を優先する学校や教員がいるのも事実です。部活動のために教員になった人もいます。
しかし教材研究や学級経営、学校運営の事務以上に時間と労力を部活動にかけるのはあるべき学校教育の姿ではないと思うのです。
また休日も自費出費もあるボランティアとして家族との時間を削ってまで活動することにも疑問を感じています。
私はそのような意見の持ち主ですが、学校教育活動において部活動の果たす役割は大きいとは感じています。
部活動の教育的意義と教員の働き方のどちらに重きを置くかによって見方は変わります。
- 人間関係の構築を学ぶ
- 活動を通して自己肯定感を高める
- 責任感や連帯感の涵養
- コミュニケーション能力の育成
- 様々な体験を通して豊かな人間性の育成
- 自主性・克己心の育成
- 協調性・リーダーシップなどを醸成
主なものを挙げましたが、自分が選んだ部活動を仲間と一生懸命取り組むだけでも多くの学びがあります。
また担任以外の大人と接する機会も多いので学びのチャンスが広がります。
このような教育的役割があることから、部活動は中学校における学校教育活動に欠かすことのできないものとなっています。
部活動の地域移行の具体策と課題
部活動の教育的役割が大きいことから簡単には廃止することはできないのが現状です。
実際、部活動で進学する割合も高いことから進路指導の中でも学習と同等に学校の中心部分を担っています(^_^;)
そこで文科省が考えたのが部活動の地域移行です!
文科省は「学校の働き方改革も考慮した部活動改革の方策」としてこのような内容を示しています。
1.休日の部活動の段階的な地域移行
休日の部活動における生徒の指導や大会の引率については、学校の職務として教師が担うのではなく地域の活動として地域人材が担うこととし、地域部活動を推進するための実践研究を実施する。その成果を基に、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこととする。
具体的方策を見ると、部活動全般が地域移行になるのではなく、休日の部活動が地域移行になるということがわかります(^_^;)
現時点でも断る権利はありますが若手教員は断れないのが現状だと思います。
休日指導を希望する教員は兼業扱いになるので、このように明記されています。
地域部活動において休日の指導を希望する教師は、教師としての立場で従事するのではなく、兼職兼業の許可を得た上で、地域部活動の運営主体の下で従事することとなる。令和3年度以降教育委員会において兼職兼業の許可の仕組みを適切に運用できるよう、今年度中に兼職兼業の考え方や労働時間管理、割増賃金の支払い等について整理を示すこととする。
令和3年度以降に運用の具体的方法を整理して示すとされていましたが、令和4年度の現在も不透明なままです。
部活動の地域移行の課題山積み
令和5年から3年間が「改革集中期間」として定められていますが、現状課題は山積みです(^_^;)
2022年6月6日にスポーツ庁の有識者会議は、部活動の地域移行に向けた対応策をまとめた提言を室伏広治長官に提出しました。
令和7年度末を目途に移行する目標を掲げています。
そこで出された課題はこちらです!
多くの課題がありますが令和5年度から3年間で休日の部活動の地域移行は推進される方向です٩( ‘ω’ )و
部活動地域移行の最新情報
文化庁の有識者会議「文化部活動の地域移行に関する検討会議」は2022年8月9日、公立中学校の文化部活動が目指す姿を提言にまとめました。
2023年度(令和5年度)から休日の文化部活動を段階的に地域移行し、達成時期のめどを3年後の2025年度(令和7年度)末までとする。
この提言は公立中学校の吹奏楽・合唱・美術・工芸・演劇・自然科学・パソコン等の文化部活動を対象に「文化部活動の地域移行に関する検討会議」が取りまとめたものです。
スポーツ庁も2022年6月6日に「運動部活動の地域移行に関する検討会議提言」が取りまとめられ、友添座長から室伏スポーツ庁長官に手交されています。
スポーツ庁の検討会議提言内容はこちらです!
文化庁もスポーツ庁も令和5年度からの3年間を目標時期にしていました!
休日の地域移行が達成できたら平日も部分的に実施する方針です。
このような方針が出されたため教員側としても働き方改革に向けて希望の光が見えたのですが、その後新たな方針が打ち出されています。
公立中の休日の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる地域移行について、文部科学省は、2025年度末としてきた達成目標にこだわらず、自治体の事情に応じて移行時期を柔軟に検討してもらうこととする。
政府は、部活動地域移行について2025年度末までに完了することを諦めたということです。
わずかに見えた希望の光は消えてしまったということですね(^_^;)
政府が推し進めるのではなく全て自治体にお任せするという側面も日本政府の常套手段だといえるでしょう。
現段階では部活動の地域移行は自治体に丸投げされています。今後大きな改革が行われる可能性は低いと考えます。
部活動の今後の見通し
各自治体の財政面、人材面を考慮すると部活動の地域移行は決して簡単なことではありません。
今までは教員という奉仕者で成り立っていた活動なので地域移行した後も継続困難な部分が出てくるでしょう。
また中体連との兼ね合いもあるので完全移行はさらに難しいと考えます。
しかし長年続いた部活動が初めてメス入れされることに教員の働き方の歴史において大きな意味があると思います。
日本の肥大化した学校教育がよりクリアなものになるよう私自身も発信し続けたいと思います٩( ‘ω’ )و
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